クールなあおくんに近づきたい!〜あと10センチ、きみに届け〜
本の隙間からのぞくと、
苗村さんと逢和君が向き合ってるのが見える。


「あの…えっと…、もうわかってるかもしれないんだけど…」


こっちまで緊張が伝わってきそうな苗村さんの様子に、これが告白だって、察しが悪いと言われる私でもすぐにわかった。


「入学式の時からずっと気になってて…宿泊研修で同じ班になって、逢和君のこと知るうちに、どんどん…その…好き、に、なってて……」


苗村さんは頬をほんのり赤く染めて、上目遣いで逢和君を見て、一生懸命言葉を紡いでいく。

女の私ですら、かわいいな、と思った。

苗村さんはギュッと目を閉じて言葉を絞り出す。


「あの、つまり……、す、好き、です!付き合ってください…!」


逢和君は終始、無表情に苗村さんを見下ろしていて感情が読めない。


可愛い苗村さんに、不安と焦りみたいなものが胸に広がって、気持ち悪くなる。

私は見るのをやめてギュッと胸を掴んだ。


そして、


逢和君の乾いた声が図書室に響く。
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