クールなあおくんに近づきたい!〜あと10センチ、きみに届け〜
カベ君がもう一度振りかぶって逢和君を殴りとばした。

また苗村さんが甲高い叫び声をあげて、私もまともに見れず、目を閉じる。


「ッゲホッ、」

「…見損なった。最低だよ、お前。」


カベ君の低く冷たい声に、

口角に血を滲ませる逢和君は、何も言わない。










「寧々ちゃんは俺がもらう。

…いいんだな?」










…え?









「委員会は解散。お前とは絶交する。もう二度と話しかけんな。」


カベ君はそう吐き捨てると、逢和君の胸ぐらを荒々しく離してからしっかりとした足取りで私の元に戻ってくる。

そして、呆然とする私の手をとった。



「行くよ。寧々ちゃん。」



何が何だかわからないままカベ君に手を引かれて、図書室の入口の方へと連れられていく。

最後に振り返ると、座り込んで苗村さんにハンカチをあてられて介抱される逢和君が、

まっすぐにこっちを見ていた。




あぁ

何でこんなタイミングで

好きって気持ちが溢れてしまうんだろう





その気持ちが雫になって、

また目からポロッとこぼれ落ちて、

私はカベ君に手を引かれながら図書室を出た。
< 133 / 204 >

この作品をシェア

pagetop