クールなあおくんに近づきたい!〜あと10センチ、きみに届け〜
え?え?
今までの常識がこの短時間でどんどん覆されていって、目がぐるぐるまわり始める。
カベ君が距離を詰めてきて、思わず後退りした。
「でも、もう遠慮する理由がなくなった。」
カベ君は廊下の柱の影に私を追いやると、私の顔の横に手をついた。
「もうあんなクズ、忘れな。…寧々」
カベ君は私の頬に手を添えると、ゆっくりとそのキレイな顔を近づけて、
私の唇のすぐ横にキスをした。
「ッ、…!?」
「絶対俺のこと好きにさせるから。覚悟して。」
妖艶な目で私を見下ろすカベ君に
いつかのキヤ君の言葉を思い出した。
『あーあ。カベさんに捕まったらもう逃げらんないよ』
私はそのまま金縛りにあったみたいに、
しばらく動けなかった。