クールなあおくんに近づきたい!〜あと10センチ、きみに届け〜
9月度議事録

◇God's mischief 2

「…あ。近海と苗村。」



夏休み明け、午前授業のみの放課後。


図書室前の階段で、前を行く男の子二人組が前方を見てそう言って

私は足を止めた。



「あいつらどこいくんだろ?」

「あれだろ、資料室とか理科室の方。あっち人がいないから。」

「うわ、生々しい現場見ちゃったわ…苗村さんとイチャイチャできるなんて羨ましー!」

「あの二人、夏休み直前に付き合い始めたんだっけ?」

「そうそう。近海ファンの女子たちが嘆いてた。」

「苗村ロスの男も結構いたよな。まぁ美男美女でお似合いなんじゃねーの」

「だな。つか近海ってキャラ変した?あんなクールなやつだったっけ?なんか痩せたし。」

「あれだろ。好きな女の前でかっこつけたいやつ。」

「あー、はは。なるほどねー」



男の子たちが角を曲がって、楽しそうな声が遠くなっていく。



階段を、そっと降りる。



廊下の遠く遠く、遠くの方で

腕を組む逢和君と苗村さんが角を曲がるのが見えた。



「…」



逢和君、私に対してはいつも笑ってたなぁ。

< 139 / 204 >

この作品をシェア

pagetop