クールなあおくんに近づきたい!〜あと10センチ、きみに届け〜
図書室の角にある、ほの暗い西洋文学コーナーに着いた。

私は本棚の角から順に背表紙を指差して、いつものようにその本を探す。



委員会が解散になっても

私は夏休みの間ずっと、God's mischiefの次巻を探していた。

私がこうして探し続けてることを、皆は知らない。

変わってしまった逢和君に、みんなカベ君と同じく『あんなやつ忘れろ』と言う。

あんなに仲良かったキヤ君も、何考えてんのかわかんねぇ、と話を聞くのを諦めたみたいだった。


私も、分かってる。

逢和君に苗村さんという彼女ができてしまった今、こんなこともう意味がないって。


わかってるけど、諦められない。

諦めちゃいけない気がする。


自意識過剰かもしれないけど

交換したシャーペンや

この図書室で最後に見た逢和君の切ない目、

『好きだよ』って言葉。

それに

直接触らなくても紙飛行機で、目で、心で触れ合ったあの日々が

嘘だったとは思えない。

思いたく、ない。




一角を見終わって別の本棚に移動しようと中央通路に出たとき、




「あぶっ」




誰かにぶつかってしまった。

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