クールなあおくんに近づきたい!〜あと10センチ、きみに届け〜
ぶつかったその人が私の腰を持って支えてくれて、その人が持ってた分厚い本が下に落ちた。

必然的に体が密着している。







それは記憶に新しい、

甘い匂いと、キレイな瞳







「…わー、ビックリした。」






サッカー部の練習着を着たカベ君が、

フ、と穏やかに笑って眼鏡を直した。


「…夏休みにフラれて以来だね?」

「あ…えっと…、ごめん、なさい」


私が思わず謝ると、カベ君が眉をひそめる。


「ちょっと、またフラないでよ」

「あっ、ご、ごめん」

「ハハッ。分かったって。もう謝んないで。俺ももうどうこうするつもりないよ。」

カベ君が下に落ちた本を拾って、ため息まじりに言う。

「あんな泣きながら『やっぱり逢和君が好き!』とか言われちゃったら、諦めざるを得ないでしょ。」

「…ごめん…」

そう言い終わった後でまた謝ってしまったとハッとすると、

カベ君が無表情で私の顎をクッと持ち上げて、切れ長の目で私を見据えた。

「次謝ったら、口塞ぐよ?」

「…!!」

私は後退りして両手で自分の口を塞いだ。
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