クールなあおくんに近づきたい!〜あと10センチ、きみに届け〜
「…なんちゃって。」

カベ君は私を見下ろしながら舌を出してイタズラに笑った。


今後カベ君の前で絶対に謝らないようにしようと心に誓ったところで、カベ君の手元の分厚い本が気になってのぞいてみる。


「…?」


イギリス王室の、歴史…?


気付いたカベ君がハッと本を隠す。


「カベ君…もしかして、ヒューイとサラのこと調べてたの…?」

私が伺うように聞くと、カベ君はばつの悪そうな顔をする。

そして、深いため息をついた。


「…やっぱ、納得いかなくて。色々。」


カベ君は顔を隠すようにメガネを直すと、本棚に寄りかかって静かに話し始めた。


「…俺の知る限り、チカは泣いたことがなかった。」
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