クールなあおくんに近づきたい!〜あと10センチ、きみに届け〜
「っ…、ゲホッ、ゲホッ。」
特別教室棟のトイレの個室で胃の中のものを全部吐き出すと、水道で口の中と顔を洗って息を整えながら顔を上げた。
鏡の中の自分と目が合う。
……ひでぇ顔。
こないだキスした時も吐き気はあったけど、今日ほどじゃなかった。
日に日に拒絶反応がひどくなってる。
…頼むよ、ヒューイ。
もう全部終わりにしようぜ?
トイレを出ると『彼女』が笑顔で出迎えて、再び鳥肌が立ち始める。
「教室に忘れ物しちゃったみたい。取りに行っていい?」
「おー」
いつものように俺の腕に腕を絡ませて、顔を摺り寄せてご機嫌で歩き始める。
そしていつものように、俺のうなじから、腕から、蕁麻疹が現れ始める。
…そうだよな。
嫌だよな、ヒューイ。
「…逢和って昔からこんなブツブツあったっけ?」
元凶である『彼女』が俺の蕁麻疹を触る。
「あー、夏バテ。アイス食い過ぎたかな。」
「フフッ、ウケるー」
…ほんと。ウケる。