クールなあおくんに近づきたい!〜あと10センチ、きみに届け〜
「あー…はは。もういいや。もうおしまい。」

俺は立ち上がって、その女から距離をとる。

近づけば近づくほど湧いてくる蕁麻疹、頭痛、そして、吐かずにいられないほどの嫌悪感。

この夏、ずっと耐えてきた。



「実験に付き合ってくれてありがとう。もういいわ。」



もう、意味がない。



「え…?どういうこと?」

「…あ、一つ聞きたいんだけど」

近寄ろうとする女に手を出してストップをかける。

「宿研のとき、木村に部屋の鍵渡して細流寧々を襲うように唆したの、あんた?」

「…え」

「廊下で木村と2人でなんか話してるの見たって人がいるんだけど…仲よかったんだ?」

「…えー?」

女がクスクス笑う。

「知らないし、言ってる意味が分かんないよ…?」


女が腕を組んで口元を触った。

…こいつが嘘をつくときの癖。



「前世でも現世でもクソ女だな。」
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