クールなあおくんに近づきたい!〜あと10センチ、きみに届け〜
これまでずっと腹の中に隠していた憎悪を吐き出す俺に、目を丸くして困惑するクソ女。


「ちょ、ちょっと待って…?急にどうしたの、逢…」

「気安く名前呼ばないで」

「!」


あー、痒い。

俺は堂々とうなじを掻きむしる。


「自分のことしか考えられないような女、生理的に無理なんだわ。早くどっか行ってくんない?さよなら。」


清々しいほどの笑みを添えてやると、クソ女の顔が醜く歪んだ。


「はぁ…?意味わかんない!サイッテー!!」


最後に鞄でバシッ!!と俺をたたいてから、苗村里穂は教室を走って出て行った。



…サイテーはどっちだよ。



足音が聞こえなくなってから、俺はもう一度自分の席にストンと座り込んで内ポケットを触る。









俺も寧々のシャーペン、返してやらないと。






「今のってアン王女?」


「!」
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