クールなあおくんに近づきたい!〜あと10センチ、きみに届け〜

「賭けたんだ。ヒューイが離れるのが先か、寧々が離れるのが先か。
こうなるかもしれないことは承知の上だった」


俺は返ってきた青いシャーペンを撫でる。


「…それなのに。

いざなってみたら、こんなしんどいなんて。」


もう、すべてがどうでもよくなってしまった。


「近海…」






その時、扉がガラッと勢いよく開いた。






「メソメソ泣いてんじゃねぇ!それでもお前、男か!!」






バカでかい声の主に、俺は目を見張った。






「え……



キヤ…?」





俺の倍以上は号泣しているキヤが、

サッカー部の練習着姿でそこに立っている。



俺と頼堂は唖然とする。



「男はなぁ!ちょっとやそっとのことで…ッ、グスッ、泣いちゃ、いけないんら!」


涙と鼻水ですんごい顔になってるキヤは、嗚咽を漏らしながらズカズカと教室に乗り込んでくる。


「いや、お前の方が泣いてんじゃん…」

「泣いでねぇじぃ!!」


俺の首に腕を回して抱き着くキヤが、耳元でまたバカでかい声で叫ぶのでキーンと耳鳴りがする。


「とにかく呪いを解きゃいいんだろ…!またみんなで探せばいいじゃん!お前が作った委員会で!!」

「キヤ…」


俺のために泣いてくれるキヤの気持ちに、

胸が熱くなる。


「……気持ちは、嬉しいけど……もう寧々にはカベが、」

「俺が何?」

「!」

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