クールなあおくんに近づきたい!〜あと10センチ、きみに届け〜
いつの間にかしれっと扉のふちに寄り掛かる、眼鏡をしてない、

カベ。

キヤと同じくサッカー部の練習着を着て、無表情でこちらを眺めている。


「…お前らなんなの?揃いも揃ってなんで神出鬼没なの?」

「チカ」


カベは俺の言葉を無視して俺の目の前までくると、神妙な面持ちで言う。


「…殴って悪かった。」

「カベ…」


そしてカベがニコッと笑って、俺の本能が警鐘を鳴らす。


「仲直りのしるしにもう一発殴らせて?」

「え」



刹那、カベの瞳孔が開くのを見た。





バキィッ!!





カベの見事なグーパンが俺の頬にクリーンヒットして、俺は椅子から吹っ飛んで床に転げ落ちた。


悶絶する俺と、ひと仕事終えて「ふぅ。」と息つくカベに、
キヤと頼堂が「「うわぁ…」」と頬を押さえてドン引きしてる。


そしてカベが、冷ややかな視線を寄越す。


「どんな理由も、寧々を泣かせていい理由にはならない。」

「…」

「…あの時聞いてたんだろ、図書室で。
だから敢えて俺たちがいる前で告白を受けた。違うか?」

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