クールなあおくんに近づきたい!〜あと10センチ、きみに届け〜
床に座り込んだまま目をそらす俺の前に、カベがしゃがんで俺の顎をつかんだ。


「っ…、痛ぇですカベさん!」


このドS眼鏡…!(眼鏡してないけど)


「どうせどっかの誰かに取られるくらいなら俺がいいとでも思ったんだろ。」


図星で押し黙る俺に、カベはため息をついた。


「…残念ながら寧々は、俺じゃだめらしい。」

「…え?」


カベは相変わらず綺麗な切長な目で俺をまっすぐ見る。


「ちょっと待て、お前寧々と付き合い始めたんじゃ…あイテテテテ」


カベが顎をつかむ手に力を込める。


「誰かさんのせいでフラれたよ。責任とれよ、逢和君。」

「え…?」


じゃあなんでシャーペン…


「今日、図書室で寧々とGod's mischiefの二巻を見つけた。」


「!」


「え!?学校の図書室にあったのかよ!」

キヤが前のめりになる。


「…それまでチカのこと諦めずに頑張ってたけど、次触れたらチカが死ぬかもしれないってわかって心折れたみたいだった。」


何も言わない俺とカベを交互に見て「え…?し、死ぬ…?」とキヤが顔を青くする。


「…チカ。やっぱ知ってたんだな。
ヒューイがサラに触って三回目で死んだこと。」


俺はカベの言葉を否定も肯定もせず、ここにはいない寧々を思う。


「……寧々、なんだって?」

「何も。ちょっと考えたい、とだけ。」




…色々考えて

シャーペンを俺の机に戻したのか

< 165 / 204 >

この作品をシェア

pagetop