クールなあおくんに近づきたい!〜あと10センチ、きみに届け〜



ずっと

暗闇の中を手探りでもがくような感覚だった。




「…」





そこに突然差した、頼りない一筋の光。




体の奥の方から湧き上がる微かな期待に、

クールダウンしていた体が再び熱くなっていく。

ハッピーエンドだから呪いが解かれるなんて保証もない。

期待してもまた裏切られるだけかもしれない。




それでも、






ーー『私も、逢和君に触りたい…!』









寧々を想うと胸が高鳴る。

喉の奥の、奥の方が焼けるように熱くなって

息が苦しくなるぐらい

惹かれて、焦がれて、どうしようもなく泣きたくなる。





やっぱり、

触りたい。





教室の端から端じゃなく

ガラス越しじゃなく

直接触れて

寧々の体温を感じたい。

すぐ近くで、寧々の笑顔が見たい。


寧々を、抱きしめたい。








俺はカラカラになった喉をゴク、と鳴らして顔を上げた。







「……信じたい。」







3人が、俺を見て嬉しそうに笑う。







「よっしゃ。寧々アレルギー対策委員会、再始動と行きますか!委員長!」




力強く言ったカベが俺の背中を叩いて、

またお前が仕切んのかよって思わず笑いがこぼれた時、

また教室の扉が開いた。

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