クールなあおくんに近づきたい!〜あと10センチ、きみに届け〜
「しっかしあと1人どうすっかー。」

「もー誰でもいいから適当にその辺で余ってる男子拾ってくれば?」

幼稚園からずっと一緒らしい木屋谷君と姫ちゃんは、手を顎に添える同じポーズで相談を始める。

私は2人の話を聞きながら、どうしても近海君に気を取られてしまう。


…あ

近海君の隣にいる女の子が近海君の腕を触った。

近海君はまるで気にする気配もなく、みんなと楽しそうに笑ってる。


「…」


いいなぁ。


「あのー…」

後ろから小さな声が聞こえて、目を向けた。


「ぼ、僕入れてもらえない、かな…?」


そこにいたのは、顔を真っ赤にして恥ずかしそうにモジモジする、


「…木村君!」


「おーいいぜ。木村ひとり?」

木屋谷君がいつもの飾らない感じで声をかけると、その身長差に木村君の顔が少し強張った。

「う、うんっ!いつものメンバーは4人だから、あぶれちゃって…」

「おっしゃ、じゃー決まり!よろしくなー!」

木屋谷君が爽やかな笑顔で木村君と握手して背中をバンバン叩くと、その強さに木村君がむせて曽我部君が「キヤ、強い強い。」と木屋谷くんを嗜めた。

「すまんすまん」と笑う木屋谷君に困ったような笑顔で答えた木村君は、私に視線を移す。

「よ、よろしくね、細流さん…!」

「うん!よろしく〜」

木村君の猫みたいな笑顔につられて、私もフニャッと笑った。

…よかった。木村君なら気心知れてるし、なんだか安心だぁ〜。
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