クールなあおくんに近づきたい!〜あと10センチ、きみに届け〜
木村君は脱力する私の手を引っ張って後ろから抱き起こし、私を盾にするように逢和君に向き直った。
逢和君が目を見開いて私たちを見上げる。
「ほら見て。君の大好きな細流寧々だよ~。」
私たちの緊迫した空気なんて嘘みたいに、木村君が陽気な声で私の手をユラユラさせた。
「ッ…てめぇ…!」
逢和君はその場から動けないまま、過呼吸になりそうなほど息を速めて、ガタガタ身体を震わせている。
「あっはは!やっぱそうなんだ!?あははは!最高!」
木村君は高笑いをしながら逢和君にじりじりと私を近付けていく。
私は恐怖で痙攣するように呼吸しながら、首を小さく横に振る。
自分じゃないみたいな身体に、どうしようもなく腹が立ってまた目じりに涙が滲む。
嫌だ
絶対に嫌だ
触らないで
逢和君を殺さないで
「ッ、ハァ、ハ…っ、ハァ…ッ」
逢和君は、今にも倒れそうなほど顔を真っ青にしているのに、変わらず木村君を力強く睨んでいる。
「うりうり!触ってごらんよ、ほら!」
逢和君の数センチ先で私の手が揺れて、逢和君の顔が苦しそうに歪む。
ダメ
ダメ、逢和君、逃げて
本当に死んじゃう
「つーか触れないのに助けに来るとか、バカなの?どうやって助けようとしてたんだよ、うっける!
ほらほら、早く助けを呼びに行きなよ近海君!
まぁその間に僕、寧々に何するか分かんないけどね?アハハハ!」
…この人、何を言ってるんだろう?
なんでそんな最低なことできるの?