クールなあおくんに近づきたい!〜あと10センチ、きみに届け〜
全ての班が決まって、クラスのみんなが席についた。


「じゃー時間余ったから席替えしまーす。」

先生から飛び出した突然の席替え発表にクラスがどよめいた。

「えー!?突然すぎるだろー!!」

1番後ろの角を気に入ってるらしい木屋谷君が反論する。

「しょーがねーだろ、時間余ったんだから。それにそろそろやろうと思ってたし。ほい、じゃー出席番号順にくじ引いてって〜」

みんなからえぇ〜!!という声が漏れても無視して先生はクジが入った箱をジャラジャラとシャッフルさせた。


うえぇ…花乃ちゃんが前の席で最高だったのに…!

やだなぁ…


みんな嫌々ながら前に出てクジを引きにいく。

私も例に漏れず「花乃ちゃんの近く、姫ちゃんの近く…」と小声で祈りながらクジを引いた。

棒の先端に小さく書かれた21番。

黒板の座席番号と照らし合わせてみる。


「1番後ろ、しかも窓際じゃん!いいなぁ〜」

花乃ちゃんが私の棒を覗いて言った。

「花乃ちゃんは?どこ?」

「4番…あー、めっちゃ前だわ。最悪。」

「あう〜、花乃ちゃん〜!!」

「寧々…今までありがとう…さようなら…!」

「やだやだ、花乃ちゃんーーー」

「おーいそこの二人組。とっとと移動しろー。」

今生の別れみたいに抱き合うわたしたちに先生が言って、渋々教科書や鞄を持ち上げる。
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