クールなあおくんに近づきたい!〜あと10センチ、きみに届け〜
「つか、結局なんで治ったの?」

「それがわかんねぇんだよなー」


キヤ君の質問に、逢和君は私の手をにぎにぎしながら答える。


「色々ムカついて『絶対死ぬもんか』って思いながら寧々を抱きしめたら、触れた部分が熱くなってスー…と全部抜けてったんだよ。」


うぅ…触られてることに意識がいっちゃって、逢和君の話が全然頭に入ってこない。

ちなみに逢和君は私の手をにぎにぎからスリスリに変えた。


「…神様は気まぐれってやつですかね。」

花乃ちゃんがそれを死んだ目で見ながら言う。


「そういや木村はどうなった?」

「全治3ヶ月で少年院行きだって。」

「カベさん…」

「え?正当防衛でしょ?」


…昨日、私が気を失った後。

カベ君がきて、逢和君が私を保健室に連れてく間に木村君を半殺しにしてしまった、らしい。

温厚キャラはどこへやら?


「あのクソ野郎『もうしません』って泣いてたけどまた何かあったら嫌だから、うちの父親にちょっと出てもらった。」

「?」

カベ君のお父さん…?

「カベ父なにしたの?」

「『腹立ったから社会的に木村家殺しといた』って言ってた。これでもう安心だね。」

カベ君がキラキラと笑った。



こ、ころ…?



「…うん。そうだね。」

花乃ちゃんがこれ以上話を聞くまいと言わんばかりの棒読みで言った。
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