クールなあおくんに近づきたい!〜あと10センチ、きみに届け〜
…どうして?

私、何かしちゃったのかな。

それとも、私の体臭が臭かったとか…?

…わかんない

わかんないけどとにかく



わたし、

近海君に嫌われてる…?



班決めの時、変なタイミングでいなくなっちゃったのも私が原因だったんだ。

お昼のあの笑顔も私が勝手に目が合ったように感じただけで、別の誰かを見てたのかも知れない。

…きっとそうだ。

話したこともない私に急にアイコンタクトしてくれるなんて、変だもん。

…恥ずかしい。さっきまで浮かれてた自分が、恥ずかしい。

希望に満ち溢れていた心が、一気にどん底に落ちていく。

私の席から対角にある1番遠い席で、隣の女の子と楽しげに話してる近海君が見えた。

…私は近海君の隣から落選してしまったんだ。





…だめ。

いま泣いちゃ、だめ。





「せっせらぎさーん!!」

遠野君がニコニコで話しかけてきた。

「あ……遠野君、よろしくね」

私はなんとか笑顔を作って、さっき近海君にするはずだった挨拶を遠野君にする。


遠野君が早口で何か話しかけてくれるけど

全身に膜を張る黒い気持ちのせいで、遠野君の声が濁って全然頭に入ってこなくて

頭の中では、さっきの近海君の『駄目だ』が何度も何度も反芻されていた

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