クールなあおくんに近づきたい!〜あと10センチ、きみに届け〜
近海君がまだ少し息を荒げたまま、教室の後ろにあったプリントの裏にボールペンで何かを書き込み、その紙を折り始めた。

「…?」

私はドアの後ろに隠れて顔だけ出し、じっとその様子を伺う。

「…うっし、できた。」

近海君は得意げにそれを掲げた。

…紙飛行機?

首をかしげる私に、近海君が振りかぶった。

「行くよ」

「!」

紙飛行機が、私に向かってふわっと飛んでくる。

「えっ、えっ」と思わず声をあげると、近海君がまたくしゃみするのが聞こえた。

私は飛び込んでくる小さな飛行機に手を広げた。

そしてそれはするりと私の手をすり抜けて、

「あたっ」

額に直撃した。

「クシュッ……あっはは!」

近海君がくしゃみしながら笑った。
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