クールなあおくんに近づきたい!〜あと10センチ、きみに届け〜
「寧々、さっきから廊下の方をチラッチラ気にして全然ごはん進んでないじゃん。」

とっくにお弁当を食べ終えて暇そうにする花乃ちゃんに対して、

私は白ご飯、ひと口。

「寧々、ただでさえ食べるの遅いんだから。早く食べないとお昼休み終わっちゃうよ。」

「う、そうだね…うん」

…と言いつつ、後ろのドアが気になって気になって、ご飯が喉を通らない。

「ほんっと好きだねぇ、近海のこと。」

「わ、わ、もっと小さい声で言って花乃ちゃん…っ!」

「近海のどこが好きなの?」

「どこって…」

私は近海君を頭の中に思い浮かべる。

「ぜ、全部…。」

私が顔を熱くさせてか細い声で言うと、

花乃ちゃんが「ぴゃー」と謎な声をあげた。

「ぜ、全部て…」

「…」



だって、本当に全部なんだもん。

爽やかで正義感が強い性格も、

ツーブロックのふわふわショートマッシュの黒髪も、

細いけど筋肉質な身体や、ぷっくり涙袋がついたタレ目や最高に可愛い笑顔も…

全部全部、大好き。
< 5 / 204 >

この作品をシェア

pagetop