クールなあおくんに近づきたい!〜あと10センチ、きみに届け〜
◇キャンプファイヤーの後
こんなにたくさんのキレイな星を見たのは初めてだ。
私はあまりのキレイさに、しばらく夜空を見上げて口を開けていた。
「チカがいたらなぁ…」
そんな、とっぷり日が暮れた、山の中。
今日最後のイベントであるキャンプファイヤーにハイテンションで浮き足立つ周囲の喧騒を遠くにして、キヤ君の声が染み入った。
私は恐る恐る視線を下ろす。
「カムバック、チカちゃん…」
しゃがんで呆然としたキヤ君の声が、暗闇の中にパチパチと静かに音を鳴らす炎の中に燻る。
『普段はアホだが黙っていればかっこいい』と言われるキヤ君は、極度の疲労で明らかに元気が無くなっていて、少し離れたところから隠れファンの子たちがここぞとばかりに盗撮しているのが見える。
「…黙って、木屋谷。」
そう言ったのは私の隣でしゃがんで、これまた呆然と炎を見つめる花乃ちゃん。
「だってさぁ…」
「言うな」
「寧々介料理できるよって言ってなかった?」
キヤ君からの突然のパスに、ビクッと身体が跳ねる。
ちなみになんでキヤ君が私を『寧々介』と呼ぶのかは謎だ。
「…言った…かなぁ?」
…言いました。
それはもう自信満々に、『私、料理できるよ!』と鼻息を吹かしながら、言いました。
だって、
家でパスタ(レトルト)作ってお母さんに寧々は料理上手ね~って褒められたことあるもん。
まさか包丁使って玉ねぎ切る係になると思わないし、
カレー作りの全体の進行を任せられるなんて思わないもん。
「…ごめんなさい」
私はか細い声で謝った。
私はあまりのキレイさに、しばらく夜空を見上げて口を開けていた。
「チカがいたらなぁ…」
そんな、とっぷり日が暮れた、山の中。
今日最後のイベントであるキャンプファイヤーにハイテンションで浮き足立つ周囲の喧騒を遠くにして、キヤ君の声が染み入った。
私は恐る恐る視線を下ろす。
「カムバック、チカちゃん…」
しゃがんで呆然としたキヤ君の声が、暗闇の中にパチパチと静かに音を鳴らす炎の中に燻る。
『普段はアホだが黙っていればかっこいい』と言われるキヤ君は、極度の疲労で明らかに元気が無くなっていて、少し離れたところから隠れファンの子たちがここぞとばかりに盗撮しているのが見える。
「…黙って、木屋谷。」
そう言ったのは私の隣でしゃがんで、これまた呆然と炎を見つめる花乃ちゃん。
「だってさぁ…」
「言うな」
「寧々介料理できるよって言ってなかった?」
キヤ君からの突然のパスに、ビクッと身体が跳ねる。
ちなみになんでキヤ君が私を『寧々介』と呼ぶのかは謎だ。
「…言った…かなぁ?」
…言いました。
それはもう自信満々に、『私、料理できるよ!』と鼻息を吹かしながら、言いました。
だって、
家でパスタ(レトルト)作ってお母さんに寧々は料理上手ね~って褒められたことあるもん。
まさか包丁使って玉ねぎ切る係になると思わないし、
カレー作りの全体の進行を任せられるなんて思わないもん。
「…ごめんなさい」
私はか細い声で謝った。