クールなあおくんに近づきたい!〜あと10センチ、きみに届け〜
そこで先生が拡声器を持ち上げて例のごとくキィー…ン、とハウリングさせた。

「今から宿に戻って風呂入った後就寝となりまーす。各自ハメ外しすぎないようになー!」


先生の言葉を合図にみんな立ち上がってぞろぞろと宿に向かって歩き始めた。

「なー、風呂のあと集まってウノしようぜ」

「キヤ、クッソ弱いじゃん」

みんながこれから始まる夜の話に花を咲かせる中、何となく気になって逢和君の班の方をチラ、と見る。


…あれ?逢和君いないな…


キョロキョロする私の背中にポスッと何かが当たった。



…?



周りには誰もいない。


足元でクシャクシャになった紙を拾って拡げてみる。



「…!」



「寧々ー?どしたー」

先を行く花乃ちゃん姫ちゃんが立ち止まる私に振り返る。

「…忘れ物しちゃった!つ、ついでに向こうのトイレも行ってこようかなっ。先に行っててくれる…?」

「え、1人で大丈夫?」

「うん!」

「じゃあ部屋で待ってるー!」

「はーい!」
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