クールなあおくんに近づきたい!〜あと10センチ、きみに届け〜
「…やっぱ、ダメかぁ」
逢和君の震える声が、
何の時差もなく耳に届いた。
私の数センチ手前まで伸ばした手はガタガタ震えていて、
逢和君の額に大量の冷や汗が滲んでる。
切ない笑顔を浮かべた逢和君のキレイな肌に、赤い斑点がどんどん広がっていく。
頬に、首に、腕に、足に、
逢和君の至るところ全てに痛々しく広がっていって、
逢和君の体の全部が、
私を拒否していた。
「っ…、」
思わず声が出そうになって、両手で口を塞ぐ。
「…ハ、クシュン!…ん、…ハァ、ハァ…ッ」
すごく、すごく、苦しそうで
見てるこっちまで鳥肌が立ってくる。
…逢和君、なんで?
もうわかったよ
私たちが近づいちゃいけないこと、よくわかったよ
逢和君
なんで、
苦しめてる当人の私をそんな目で見るの?
なんでそんな震えながら手を伸ばしてるの?
その目から、手から、
逢和君の気持ちが伝わってきて
ひどく心がかき乱される
…抱きしめたい。
こんな苦しそうな逢和君を目の前に、そう思った。