幽霊。〘透明になった日〙
ノートを持って早く帰ろうと思っていたのに、このまま帰るの名残惜しく感じた。

「合唱祭の時の、すごく綺麗だったから
影山さん、1年の頃に弾いてたよね」

「あ…うん」

「あの演奏聴いてこの曲好きになったんだ」

去年まで習っていたから弾いただけで、今はもうピアノに触れることすらない。
才能がないという突きつけられた現実に諦めてしまった自分が情けなかった。
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