幽霊。〘透明になった日〙
才能を求めていた訳ではなく、ただ私のピアノを好きだと言ってもらいたかっただけ…

「染谷くん」

「ん?」

「…ありがとう。私のピアノを好きって言ってもらえて。」

彼の一言で冷たい心も暖かい心に戻してくれた。


ふと机を見ると緑のクロッキー帳と黒色の鉛筆が置かれている。
もしかしたら放課後に絵を描いているのかもしれない

「染谷くんは、よく絵を描いているよね」

「うん。描くのが好きなんだ」

「どんな絵、描いてるの?」

「え……風景が多いかな」

見たいと期待する眼差しを向けている事が伝わったのか、染谷くんが絵を見せてくれた。
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