幽霊。〘透明になった日〙
「何の変哲もない日常の絵だよ」
見せてくれたのは、空の風景や廊下の絵だった。放課後の絵を描いているのか人の姿はない。

「す、凄すぎない?」

「そんな事ないよ。目の前の風景を見ながら書いてるから」

「私、絶対こんなの描けないよ!だって写真みたい!」

どの絵も細かいところまで描かれている。
太陽の光の加減は、まるでモノクロの写真でも見ているようだった。

「他のページも見てもいい?」

「うん。いいよ」

ページをめくっていくと、他の絵とは異なるページを見つけて手を止める。

「これってラムネ瓶?」

「あ……うん。でもそれ、上手く描けなくてボツのやつ」
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