その溺愛、危険度99%につき
雨、やんでくれないかな……。
「──あれ?もしかして香山?」
電車がもう少しで到着するアナウンスと一緒に聞こえてきたのは、私のよく知っている声で。
できればもう二度と会いたくない人の声だった。
視線の先、ホームの階段をこっちに向かって下りてくるのは想像通りの人物。
目があった瞬間、心臓がドキドキと嫌な音を立てた。
「あ、やっぱりそうじゃん。どこの高校行ったのかと思ってたけど、私らのとことはだいぶ遠い学校にしたんだねぇ」
動けないままでいる私の制服を見て、可笑しそうにそう言う。
チラッと視線を動かすと、その子の後ろにはセーラー服を着た女の子たちが数人いた。
本当なら、私もそのセーラー服を着るはずだった。