その溺愛、危険度99%につき

そんなことを思いながら、通話を切る。
HRが終わって結構経つし、もうほとんどの生徒が帰ったようで私以外廊下には誰もいなかった。


でも、教室に戻ればまだ誰かしらいる気がする。
ガールズトークで盛り上がってたグループがあったし……よく分からないけど、1人にならなければいいんだよね……。




「──香山澪、っておまえのことだよね」

「え」




突然耳元で聞こえてきた声はどこか楽しげで。
思わず目を見開いた。

足音も、気配も、まったくしなかった。

後ろから抱きつくような体勢で、その人はビックリしている私を見て目を細めて笑った。


学ランの制服。
笑っているはずなのに光のない暗い瞳。
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