その溺愛、危険度99%につき
空になったカップをサイドテーブルに置こうと腕を伸ばした光輝が、体が痛むのか眉を寄せたのが分かった。
「腹とかすげぇ色になってるけど、見る?」
「いやいいっ。いいです、お大事にして……」
「あそ。まぁ見せるもんじゃねぇか。アイツも容赦なかったしな」
「アイツって……やっぱり、今日の学ラン男に暴力を受けたの?」
「学ラン男って。おまえが今日会ったのは、七原晶ってやつだよ。俺と同じ高校」
七原晶……。
たしかに朔もあの時その名前を呼んでた。
「でも、どうして光輝がそんな怪我をする必要があったの……」
「そりゃおまえのこと聞くためだろ」
わ、私のことを?
突然出てきた自分の名前に、ぱちぱちと瞬きを繰り返す。
「あーめんどくせー。何回も説明すんのだるいから、ちゃんと聞いとけよ」
長いため息を吐いてから、光輝は七原晶のことを教えてくれた。