その溺愛、危険度99%につき

『とりあえず来いよ。おまえ担ぐのはだるいから』


……分かった。
あの男、私を囮にしようとしたんだ。



「周りからしたら、おまえは朔にとって大事な奴に見えるんだよ。そんなおまえを掻っ攫ったら、確実に朔とやり合えるって思うだろ」

「……」

「あの動画が出回ってから今日まで何のアクションも起こしてないところを見ると、アイツ、おまえが1人になるのを待ってたんじゃねぇの」



そっか。
だから私が朔に黙って奈子と帰った時、あんなに心配してたんだ。

朔の震えていた手を思い出す。
私が晶って人に連れ去られるんじゃないかって、そう思っていたの?

駅までのルートを毎日変えていたのも、見つからないようにするため?



「……私のことなんか放っておけばよかったのに」



自分のことだけ考えてればよかったのに。
< 144 / 272 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop