その溺愛、危険度99%につき
*
「──最悪だね」
駅の電光掲示板に表示されている"運転見合わせ"の文字。土砂降りの雨、冷たい制服。
ホームへと続く階段の前、隣にいる朔を見上げるけれど、癖毛の髪が雨に濡れて朔の表情を隠すから、何を考えているのかわからない。
光輝のアパートを出た時は小雨だったのに、いきなり土砂降りになるなんて。駅まで走ってきたけどやっぱり全身ずぶ濡になっちゃったし……。
朝から天気悪いなぁとは思っていたけど、運転見合わせといい、タイミングが悪いなぁ。
「澪は迎えに来てもらいなよ。来るまで一緒に待ってるから」
「無理だなー……今日は親夜勤だから。まぁ電車動くの待って──ックション!」
「……。」
「やっぱ寒いね。自動販売機で温かい飲み物買ってくる。朔は待合室で座って待ってて」
自動販売機に向かおうと足を進めた瞬間、くいっと腕を引かれた。