その溺愛、危険度99%につき
「俺も一緒に行く」
前髪の間から、朔がじっと私を見ているのが分かった。
なんか……雨に濡れた猫みたい。
朔が猫になったら、絶対黒猫だな。寂しがり屋で嫉妬深くて、特定の人にしか懐かない猫。
「よかった、中は暖かいね。制服乾くといいんだけど……」
温かいお茶とミルクティーを買って、待合室の椅子に並んで座った。
もっと人がいるかと思ったけど、この場には私と朔しかいなかった。
他の人はタクシーとかバスとか使うのかな……。
家まで結構距離あるし、さすがにタクシーは高くて使えないなぁ。
そんなことを考えながら、チラッとミルクティーを飲む朔を見る。
「なんか意外。コーヒー買うと思った」
「ん……今まで口にするものにこだわりはなかったけど、俺は意外と甘いものが好きらしい」
「そういえばそっか。カフェのケーキも気に入ってたもんね」