その溺愛、危険度99%につき

「──澪」



その聞き慣れた声に、ドキリとしながら後ろを振り向いた。
にっこりと爽やかに笑う朔は、いつもの優等生の朔で。

廊下にいる女子達が、みんな朔のことを"そういう目で"見てる。
かっこいいなーって、たぶんそういう風に思ってる。
こんなの今まで当たり前だったし、何も気にすることなんてなかったのに。

なんか、嫌、かも……。


「澪ちゃん、私今日購買でお昼買わないとだから先に行ってるね!」


パタパタと行ってしまった奈子から、目の前の朔に視線を移した。



「で、なに?」
「ちょっとじっとしてて」

「っえ、ちょ、なになに……っ!」



私に向かって手を伸ばす朔と、昨日の出来事が重なって、思わずぎゅっと瞼をとじる。

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