その溺愛、危険度99%につき
「──一緒にするなよ、心外だな」
ガラスの破片を踏む音、聞き慣れた声。
重たい瞼をなんとか開けると、黒いパーカーに着替えた朔がいた。
何を考えているのかわからない顔。
まえに私が黙って帰った時と、同じ顔をしてる。
名前を呼ぶと、朔は私と視線を合わせるようにしゃがんだ。
「……怒ってる?」
「怒ってるよ。怒らないわけないだろ」
「……ごめん……」
「言い訳はあとで聞くから、こっちおいで。」
両手を広げる朔の元へ体を動かそうとするけどビクともしない。
晶が、私をキツく抱きしめているから。
「……誰にも渡したくないって顔してるけど、それはもう俺のだから」
「……」
「返せよ、晶」
頭がガンガン鳴っている。
どんな音も頭に響いて、しんどくて。
私は意識を手放した。