その溺愛、危険度99%につき

「大変だったんだからね〜」なんて、そう言いながらベッドに頬杖をつくお母さん。


「私も病院の人に聞いたことだけど、道端のベンチで高熱でぐったりしてたんだって。親切な人が救急車呼んで、澪ちゃんのこと乗せてくれたみたい」

「ふぅん……」

「なによ〜興味なさそうにしちゃって。私は心配で心配で……澪ちゃんの太もものとこ、いまも傷痕残ってるし」

「あ、これってその時のなんだ。どっかで引っ掻いちゃったんだろなぁって思ってたけど」

「もうー!自分の体のことなんだからもっとちゃんと考えなさいよー!」


左足の太もものところ。
いつの間にかついていた7.8センチほどの細い傷痕。

ベンチでぐったりする前にどこかで転んだのかな。
覚えてないなぁ……。


「……まぁ、記憶こんがらがっちゃってても仕方ないけど……あの時雨の日でね、私傘も刺さずに病院まで走って行ったなぁ。澪ちゃん中々熱が下がらなくて、数日間入院したんだよ」

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