その溺愛、危険度99%につき

噛み跡は消えたけれど、あの時の痛みはたぶん忘れない。
でも、それと同時に、私は晶の香水の匂いも忘れていない。私を抱きかかえてくれた時の温もりと、大きな手のひらを今でも覚えてる。



「もう許してるよ。」



だから、もういいよ。



「私のこと守ってくれてありがとう。ずっとお礼が言いたかったの。わざわざ会いに来てくれて嬉しかった」



そう言って笑うと、晶は一瞬目を見開いて。
「おまえ、やっぱ変」なんて、呆れたように笑った。


ていうかわざわざ私に会いに来るなんて、見かけによらず律儀な奴なのかな。
なんか、大きいわんちゃんみたい。

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