その溺愛、危険度99%につき
喧嘩は暇つぶしだったけど、足元で苦しそうに顔を歪ませる奴らを見るのは、なんとも言えない高揚感があって。
それだけが、生きる喜びだった。
晶みたいな手強い奴もいて、それなりに楽しんでいたとは思うけど。
でもやっぱり、自分の人生とかどうでもよくて、もう全部、なんでもよくて、殴られて感じる痛みをもって、ちゃんと生きてるって確認作業してるみたいだった。
中学3年の冬、ある雨の日、ぷつんと自分の中でなにかが切れた。
誰かに、めちゃくちゃに傷つけられたくなった。
よくわからないけど、そういう風に思った。
だから、夜の街で、誰彼構わずに喧嘩を売った。
殴って、殴られて、体中ぼろぼろで。
ようやく目の前にいる相手が誰もいなくなったと思ったら、切れた相手の1人がぞろぞろ仲間を連れて戻ってきた。