その溺愛、危険度99%につき
でも……雨が止んだかのような、夜の街に太陽が昇ったかのような。そんな感覚だった。
こんな、単純で些細な言葉で、救われるなんて、どうかしてる。
どうかしてるけど、その時の俺にとっては、十分すぎる言葉だった。
ずっと、誰かにそう言ってもらいたかった気がした。
思わず手を伸ばして、その女を強く抱きしめた。
雨の音、心臓の音、人の温もり。
誰かに触れる心地よさを、初めて知った。
『……っおい、』
ぐらり、女の体が揺れたのはその時で。
バサバサ、と手にしていた鞄の中身が地面に広がった。
ある高校のパンフレットが目に入って、それから女に視線を移した。
息が荒くて、体温が異常に高かった。