その溺愛、危険度99%につき

『あたま、いたい』


小さな声と、ぐったりした体。
そう遠くない距離から、俺を探している奴らの声も聞こえた。

考えている暇はなかった。

膝の裏に手を通して、抱きかかえるようにして彼女を持ち上げた。
想像よりも軽い体重にびっくりした。



『……巻き込んで、傷つけて、ごめん……ありがとう』



人通りのあるベンチにそっと降ろしながら、俺はそう呟いていた。



『(……名前、聞いとけばよかった)』



そう思ったのは、追いかけてきた不良たちと殴り合っている時だった。



……もう一度会いたいって思ってしまったことは、当たり前のように感じて。
今まで何かに夢中になったことなんてなかったのに、あの人だけは、俺の心の真ん中にずっといた。
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