その溺愛、危険度99%につき

返事とか聞くような雰囲気でもないし!と、とりあえず私はもう帰るっ。難しいことはあした考えるっ。



「──待って」



朔の横を通り過ぎた時、掠れた声が聞こえた。
ハッとして振り返ると、朔は私のことを静かに見ていて。


「……全部、思い出したの?」って、小さくそう続ける。
こくりと頷いたら、朔は呆れたように微かに笑った。


「思い出したのに、俺のこと好きなんて言うんだ」
「言うよ……好きになっちゃったんだもん」

「……頭おかしい」

「ねぇそれ悪口、」


「全部思い出したんなら、もうわかってるんだろ?澪の足に傷跡残したのは俺だって」



眉を寄せて、苦しそうに言う朔に、思わず目を見開く。


「一生残るかもしれない傷跡つけた奴が好きなんて、おかしいだろ」
< 233 / 272 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop