その溺愛、危険度99%につき
返事とか聞くような雰囲気でもないし!と、とりあえず私はもう帰るっ。難しいことはあした考えるっ。
「──待って」
朔の横を通り過ぎた時、掠れた声が聞こえた。
ハッとして振り返ると、朔は私のことを静かに見ていて。
「……全部、思い出したの?」って、小さくそう続ける。
こくりと頷いたら、朔は呆れたように微かに笑った。
「思い出したのに、俺のこと好きなんて言うんだ」
「言うよ……好きになっちゃったんだもん」
「……頭おかしい」
「ねぇそれ悪口、」
「全部思い出したんなら、もうわかってるんだろ?澪の足に傷跡残したのは俺だって」
眉を寄せて、苦しそうに言う朔に、思わず目を見開く。
「一生残るかもしれない傷跡つけた奴が好きなんて、おかしいだろ」