その溺愛、危険度99%につき

熱で体が動かなくなった時、朔が私を抱きかかえてくれた。
自分から突っ込んで行ったくせに、結局迷惑をかけてしまって、あの時、なんて情けないんだろうって思ってたの。


『わたし、めいわくかけてる、よね……ごめんなさい……』
『もう何も喋らなくていいから』

『また、よけいなことしちゃった……』


降り注ぐ雨が冷たくて、そんな中路地裏に佇んでいた朔のことが気になって。
何も映していない瞳と、その表情が私の心を掴んで離さなかった。

そんな時にぞろぞろと不良たちが後ろから現れたの。
助けないとって、思った。
でも、その時思い出したのは中学の同級生のことで。

最初の一歩が、どうしても動かなかった。
私の行動が、また鬱陶しがられるんじゃないかって。余計なことなんじゃないかって。

そう思われるのが怖かった。



『あんな顔、してほしくなかったから、足が、動いちゃったの』
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