その溺愛、危険度99%につき

朔のこと、やっぱり放っておけなかったの。
だから、朔の腕を引っ張った時、誰かの世話を焼くのはこれで最後にしようって、決めたんだ。



『じゃあもう、そのままでいいよ。』

『え……』

『変わらなくていい。余計なことなんか何もなかった。俺はおまえがいてくれて救われた』

『……』

『ありがとう』



暖かい声だった。すごく、すごく、暖かった。
靄がかかっていたような視界が、晴れたような気がした。

辛かった心が、その言葉だけで軽くなった気がしたの。



「あの時、私は朔に救われてた。感謝してもしきれないものをもらったの。だから、そんなに自分を責めないでよ」



思い出すのが遅くなってごめん。
あの時、私のことを助けてくれてありがとう。そのままでいいよって言ってくれてありがとう。

朔がいたから、今の私がいるんだよ。
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