その溺愛、危険度99%につき
急いでその場から離れようと、くるり方向転換。
だけどすぐに、私は足を止めた。
「……やっぱり、皆んなが噂してる通り、香山さんと付き合ってるの?」
たぶん、朔は首を振ると思う。
だって、私が秘密にしてって言ったから。
そういう約束だから、朔は嘘をつかないといけない。
……私、だいぶ面倒くさい。
『付き合ってないよ』って言う朔の姿を想像したら、少し、いやかなり、へこんだ。
「付き合ってるよ」
はっきりと聞こえた朔の声に、「え」と、顔をあげる。
「やっぱりそうなんだ……わかった。話聞いてくれてありがとう、榛名くん」
2人の話が終わったみたい。
女の子とその場で別れた朔がこっちに向かってくる。
隠れる場所はどこにもない。
その場に立ったまま動けないでいる私を見て、朔は一瞬目を見開いた。