その溺愛、危険度99%につき
「もしかして聞いてた?」
「……うん」
「ごめん。付き合ってないって嘘でも言うのはやっぱり嫌だった。怒ってる?」
秘密にしてって言ったのは私で、朔はその約束を破った。
本当なら怒らないといけないのに、そんな気がおきない。
「……怒ってない」
「嘘。じゃあなんでそんな眉寄せてるの」
だって、言えるわけないじゃん。
本当は嬉しかった、とか、そんなこと。
自分から秘密にしてって言ってしまったのだからなおさら。
秘密にしたいのかしたくないのかどっちなのって感じじゃん。
素直に言葉にする代わりに、私は朔のブレザーの裾を、きゅ、と掴んだ。
「あの……付き合ってること、もう隠さなくていいよ」