その溺愛、危険度99%につき
*
ほっぺたを膨らませた澪ちゃんに、ごめんね、と笑う。
でもね、榛名くんのことを考えたら、やっぱり私は行かない方がいいと思ったんだよ。
榛名くんが自分の教室に戻ろうとした時の姿を思い出す。
あの人、いつものように笑顔を浮かべてた。
浮かべてた、けど。
『……』
ほんの一瞬、私のことを見た。
まるで私を牽制するかのような、光のない冷たい視線だった。
あの目でずっと見られたら、たぶん私、怖くて逃げ出すと思う。
「(とてもじゃないけど、澪ちゃんには言えないなぁ……)」
そんなことを考えて、心の中で苦笑いをした。
榛名くんの澪ちゃんに対する気持ちは、きっと私なんかじゃ想像できない。
そのくらい大きくて重くて、それでいて少し危険なものなんじゃないかなって、思う。