その溺愛、危険度99%につき
「なんかもうそのセリフがさぁ!おかしいんだよなぁ!」
「ほんとにだめ?俺結構我慢してきたんだけど」
「っあ、ちょ、ち、近づいてこないて!」
近づいてくる朔から逃げるように後ずさると、トンと背中に何かが当たる。
慌てて後ろを確認すると、そこにはもう逃げ道はなくて、ただの壁があるだけだった。
「(う、うそ……)」
ごくり、唾を飲み込む。
「澪は警戒心高いように見えて、意外とガードゆるいから」
「ひっ、」
「だからこーやって捕まっちゃうんだよ」
私を囲うように壁に手をついた朔が、目を細めて笑う。
いつも嫌というほど一緒にいるから慣れているはずなのに、今は、すぐ近くにいる朔に心臓が止まりそうだった。