憎きセカンドレディに鉄槌を!(コミカライズ原作『サレ妻と欲しがり女』)
「確かにそうだけど」

「美羽先輩だって久しぶりで、すっごく緊張すると思うんだよね。女だからそういうところ、春菜はわかるんだ」

「ふぅん……」

 持っていたお酒を上條課長に手渡すと、なにも言わずにレジに並んでくれた。そして会計を済ませて一緒に外に出る。春菜が見つめる前でリングプルを指先で開けて、意を決するようにぐいっとそれを飲み干す。

「良平きゅん、すっごくかっこいい!」

 両目をぎゅっとつぶり、煽るように飲む姿を見ながら、パチパチ拍手した。カラ元気に似たその音は、外で虚しく響き渡る。

「う~、ちょっと気持ち悪い」

「美羽先輩のためにがんばれ♡」

 上條課長が持っていた空き缶をゴミ箱に捨ててやり、自宅マンションに向かって大きな背中を押してあげる。足取りは大丈夫そうなので、行為をするにも支障がないだろう。

「良平きゅん、よく聞いて」

「なんだ……?」

「美羽先輩を叩いたり、抓ったりしたらダメだからね。お昼に言ったように、美羽先輩の肌は繊細なんだと思う。だから触れるときは優しくしてあげるの」

「あ~、ノーマルにすれってことか」

「でもそれじゃあ、良平きゅんは興奮しないでしょ?」

 背中を押すのをやめて、上條課長の横に並び、腕を組んでやった。ここぞとばかりに、春菜のGカップをしっかり押しつける。途端に上條課長の鼻の下が伸びた。

(くふふっ、これは帰った瞬間から、はじまることが決定だよね)

「あのね相手を痛めつけずに、良平きゅんでも興奮できるコト。つまり言葉責めをすればいいんだよ。美羽先輩が絶対に言うことを聞くように、心を折ればいいの」

「心を折る……。そして服従させればいいんだな?」

 私を見る、上條課長の瞳が嫌な感じで光り輝いた。ヤル気満々のその姿を目の当たりにして、興奮せずにはいられない。このあとおこなわれるであろう夫婦の卑猥な営みを想像するだけで、下半身が湿り気を帯びていく。

「さっすが良平きゅん、わかってる。思う存分に美羽先輩を服従させてから、いーっぱい中出しすれば気持ちいいんじゃない?」

(お昼に私が1回ヌいているし、上條課長の早いご帰宅に、体力が有り余る言葉責めを受け止める美羽先輩、すっごくかわいそすぎる。流産しないように春菜、お祈りしてあげるね)

「ああ。たっぷりと注いでやることにする」

 私にはできないそのことに、ちょっぴりジェラシーを抱いたものの、美羽先輩がこのあと馬鹿な夫にめちゃくちゃにされることを想像しただけで、負の感情が瞬く間に消え失せたのだった。
< 18 / 118 >

この作品をシェア

pagetop