憎きセカンドレディに鉄槌を!(コミカライズ原作『サレ妻と欲しがり女』)
「そんでその証拠は、今どこにあるんだ? 俺に見せてみろよ」

 良平さんから注がれる視線を無きものにする感じで、私はがっくりと項垂れた。あのとき感情にまかせて証拠品を取っておかなかった、自分のミスを悔やんでも悔やみきれない。

「手元にはない……」

「物的証拠を見せられないというのに、愛する俺を疑うなんて、美羽は悪いコだな」

「だってあんなもの見たら、普通は気持ち悪くて、捨てるに決まってるじゃない! 良平さんが浮気してる証拠なんだよ」

「俺は浮気してない。心から愛する女は、この世で美羽ひとりだけだ」

「絶対に浮気してる、私見たのに! 私以外の女とここで寝たんでしょ?」

 思いきって顔をあげて訴える私を、良平さんはひょいと肩を竦めながら、首を左右に振る。

「はいはい。俺にかまってもらえなくて寂しさのあまりに、美羽は浮気してるという幻想を見ただけだ」

 全裸になった良平さんが、私をベッドに押し倒し平然と跨った。

「幻想なんて見てない、私はこの目でしっかり――」

「うるさいぃっ!」

 寝室に響いた良平さんの怒号に驚き、ひゅっと息を飲む。不快な冷や汗が全身から滲み出た。抓る以上の痛みを伴うことを、彼はこれからおこなうかもしれない。

 嫌な予感が背筋を冷たく流れていき、それがきっかけで体がカチコチに固まった。

「これから愛する俺に抱かれることを、心から喜べ。とっとと股を開けよ、この肉便器が!」

(目の前にいるこの人は誰? 私が好きになった良平さんじゃない……)

「いっ、い、ぃや……やめ、て」

「はっ、口ではそんなこと言って焦らしやがって。わざと俺を煽ってるんだろ?」

 良平さんは嬉しそうに喉の奥で低く笑うと、抵抗する言葉を告げかけた私の唇を塞いだ。

 このあともげんなりするくらいに、卑下することをいろいろ言われ続け、私の抵抗する気力を見事に削いだ良平さんに、徹底的に弄ばれたのだった。

☆作者より
 サブタイトルを(対峙)から(服従)に変更しました。(対峙)は別の章で使用する予定です。
 美羽と真正面から対峙する良平。美羽のお腹のコ『胎児』をまったく気にかけることなく、進んで酷いコトをするというのでかけてみたのですが、いかんせん中途半端だったので変えました。さりげなく、そういう言葉遊びをしてます。

 そしてホラーじゃないのにスタンプの(こわい)の数がどんどんたまっていくことや、コメントでうかがえる率直な感想を元に、とても楽しく執筆してます。どうもありがとう😊♡
 原稿のストックがなくなってきたので、1日1回の更新になるかもですが、追いかけていただけると嬉しいです。
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