憎きセカンドレディに鉄槌を!(コミカライズ原作『サレ妻と欲しがり女』)
「ぉおお、俺が美羽姉の旦那さんになんて、なにを言い出すかと思ったら、そっちのほうがバカみたいな話だって。めちゃくちゃ困ること言うなよ……」
究極に困ったんだろう、学くんの顔が決まりが悪そうに赤らんでいく。
「事実を言ったまでなのに。実際、良平さんよりも学くんのほうが、今は頼りがいあるよ」
しかも顔だけじゃなく、耳の縁から首までほんのり赤く染まっていく様子に、どうにも笑いを隠せない。おなかを擦りながら、カラカラ笑った。
「美羽姉!」
「学くんの傍にいるほうが、よっぽど胎教によさそう。ありがと、久しぶりに笑うことができた」
「胎教ついでに、ほら、受け取って。これが俺の連絡先」
学くんが押しつけるように手渡したそれは、一枚の名刺だった。淡いグレーの台紙に、お洒落なフォントで印刷された文字を目で追う。
「俺を雇えば、身重の美羽姉の負担が減る上に、まとめられた結果を見るだけだから、ショックだって一時的なものになると思うんだ。知り合いってことで、価格もお安くしておく」
「どうして本名でしてないの? 『白鳥翼』なんて、なんかちょっと――」
芸名っぽいなと思ったけど、あえてそれを言わないでおいた。
「仕事柄、私怨関係を扱うことが多いから、本名でやっていないだけ。その名前にしてるのは、仕事相手にすぐに覚えてもらえるんだ。ただそれだけなんだからな!」
両こぶしを握りしめ、妙な迫力で言いきられてしまったのだけれど。
「学くんのイメージは、どちらかというと白鳥よりも黒鳥って感じ。私怨関係なんて、まんまダークな感じなのにね」
「はいはい、どうせ俺は陰キャのヲタクですよ。仕事名がダークなイメージじゃなくて、どうもすみませんでしたー」
「そんな白鳥翼くんに、お仕事を依頼したいです」
ベッドから腰をあげて立ち上がり、学くんにしっかり頭を下げた。
「お願いします。幼なじみということで、依頼料は是非ともお安くしてください」
「うおっ、頭をあげてくれよ。美羽姉にそんなことされたら、あとが怖いって。とりあえず座って座って、話を進めるから」
「うん、ありがとう」
言われたとおりにベッドに腰かけると、学くんもその場に胡坐をかく。
「俺のラインに旦那さんの写真とプロフィール、あと生活の大まかなパターンに職場の情報を送って」
「ちょっと待ってね。スマホがテーブルの上に」
「俺がとる、これだろ?」
すぐ傍にあったテーブルの上に腕を伸ばし、私のスマホを取ってくれたので、難なく手にすることができた。落としていた電源を入れて、手っ取り早く良平さんの写真を送ることにする。
最近の写真で、正直いいものはなかったけれど、適当に選んで学くんに送ってみた。
究極に困ったんだろう、学くんの顔が決まりが悪そうに赤らんでいく。
「事実を言ったまでなのに。実際、良平さんよりも学くんのほうが、今は頼りがいあるよ」
しかも顔だけじゃなく、耳の縁から首までほんのり赤く染まっていく様子に、どうにも笑いを隠せない。おなかを擦りながら、カラカラ笑った。
「美羽姉!」
「学くんの傍にいるほうが、よっぽど胎教によさそう。ありがと、久しぶりに笑うことができた」
「胎教ついでに、ほら、受け取って。これが俺の連絡先」
学くんが押しつけるように手渡したそれは、一枚の名刺だった。淡いグレーの台紙に、お洒落なフォントで印刷された文字を目で追う。
「俺を雇えば、身重の美羽姉の負担が減る上に、まとめられた結果を見るだけだから、ショックだって一時的なものになると思うんだ。知り合いってことで、価格もお安くしておく」
「どうして本名でしてないの? 『白鳥翼』なんて、なんかちょっと――」
芸名っぽいなと思ったけど、あえてそれを言わないでおいた。
「仕事柄、私怨関係を扱うことが多いから、本名でやっていないだけ。その名前にしてるのは、仕事相手にすぐに覚えてもらえるんだ。ただそれだけなんだからな!」
両こぶしを握りしめ、妙な迫力で言いきられてしまったのだけれど。
「学くんのイメージは、どちらかというと白鳥よりも黒鳥って感じ。私怨関係なんて、まんまダークな感じなのにね」
「はいはい、どうせ俺は陰キャのヲタクですよ。仕事名がダークなイメージじゃなくて、どうもすみませんでしたー」
「そんな白鳥翼くんに、お仕事を依頼したいです」
ベッドから腰をあげて立ち上がり、学くんにしっかり頭を下げた。
「お願いします。幼なじみということで、依頼料は是非ともお安くしてください」
「うおっ、頭をあげてくれよ。美羽姉にそんなことされたら、あとが怖いって。とりあえず座って座って、話を進めるから」
「うん、ありがとう」
言われたとおりにベッドに腰かけると、学くんもその場に胡坐をかく。
「俺のラインに旦那さんの写真とプロフィール、あと生活の大まかなパターンに職場の情報を送って」
「ちょっと待ってね。スマホがテーブルの上に」
「俺がとる、これだろ?」
すぐ傍にあったテーブルの上に腕を伸ばし、私のスマホを取ってくれたので、難なく手にすることができた。落としていた電源を入れて、手っ取り早く良平さんの写真を送ることにする。
最近の写真で、正直いいものはなかったけれど、適当に選んで学くんに送ってみた。